全てはザクⅡが傑作機だったが故の 「ジオン軍の失敗」
MS-06 ザクⅡが傑作機であったことについては、誰もが異論の無いことだと思います。しかし、「ザクⅡが傑作機だったが故に1年戦争におけるジオン軍の兵器開発は迷走した」と本書は指摘しています。
そのあまりの汎用性の高さから、ザクⅡは宇宙空間でのみならず、地上においても多くの機体が運用されました。また、最前線での戦闘だけでなく、後方における工作(土木)作業にも活躍したといいます。
つまり、あらゆる局面において、ジオン軍は「とりあえずザクⅡで何とかしよう」としてきたわけで、実際なんとかなっちゃったんですね。その証拠にザクⅡの派生モデルのなんと多いことか。
もちろん、あらゆる資源に乏しいジオン軍としては、各種の任務に対して専用の兵器を準備するよりは、1機であらゆる任務に対応するザクⅡを使う方がコスト面でも理にかなっていたのは間違いないでしょう。
もっとも、ここまで派生モデルが増えた背景には、ルウム戦役におけるザクⅡの輝かしい戦果をジオンの開発者が忘れられなかったからかも知れませんけど。
しかし、このザクⅡに固執したとしか思えない開発姿勢が、結果として開発リソースの分散を招き、ひいては兵器開発の迷走を招いたというわけです。
そりゃねぇ、ゲルググが正式採用されようかって時に、MS-06R-2なんか飛ばしてちゃ、やっぱダメでしょう。
もしジオン軍が、かつてザクⅡを開発したのと同じように、全てのリソースを次期汎用モビルスーツの開発に充てていたら、戦局は変わっていたかも知れません。たとえ次期モビルスーツがビーム兵器を装備できなかったとしても・・・。